(故・前谷博士が生前に発表した論文とスライド原稿から構成しました)
癌と診断された患者がよく尋ねる質問は「治る見込みはどれだけか」であり,もし見込みが少なければ「後どれだけ生きられるか」である。これは医師も知りたい重要情報である。ところがこれまで最も広く使用されてきたCox の比例ハザードモデルに基づく回帰分析やLogrank 検定では,この問いには答えられず,治療が癌を全治したのか,単に死亡を引き伸ばしたのか見分けられない。その限界はCox 自身も認めている。一方,Boag の提唱した3母数モデルではそれが可能である。彼はどれだけの割合の患者が全治するかを,5年生存率からではなく,原病特異的生存曲線がほぼ水平になる時点での曲線の高さから導いた。更にGamel らはこのモデルを回帰分析に拡張して,種々の治療法や予後因子が,癌患者の全治率や生存期間中央値(Boag モデルの母数)にどれだけの影響を及ぼすかを予測した。
詳細1、次の「胃癌手術でD1とD2はどちらがよいか?」をお読みください。
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